「世界の市場」を武器にした中国外交の光と影

執筆者:伊藤正 2003年9月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス

国際情勢を読み解く上で、「中国の経済力」はいまや欠かせない補助線だ。米国の一極支配を脅かす、この多極化戦略の未来は――。[北京発]八月九日夜、北京の人民大会堂三階の宴会場。日中平和友好条約締結二十五周年を記念するレセプションに出席した王毅外務次官はすこぶる上機嫌に見えた。王氏は核問題の六カ国協議をめぐる北朝鮮側との協議を終え、この日午前、帰国したばかりだった。上首尾だったのは疑いない。 レセプションの途中、席を立った王次官は取り囲んだ数人の日本人記者の質問に気軽に応じ、六カ国協議の日程などについて、北朝鮮側との合意内容の一部を明かした。この時点では、関係国への通知もしておらず、さらに詰めの調整が残っていたが、王氏は六カ国協議の八月下旬開催への自信に満ちていた。 昨年秋、北朝鮮の核開発計画が発覚して以来、中国は北の核保有を絶対阻止する意思を固める一方で、その方法は対話による平和的解決以外にないと主張してきた。北朝鮮の核による威嚇と米国の強硬論のはざまで、国際社会は北朝鮮に影響力を持つ中国の役割に大きな期待を寄せた。三月の銭其シン副首相(当時)訪朝で、四月下旬の米朝中三カ国協議(北京)を実現させて以来、中国は、実際には当事者でありながら仲介者として動き、その到達点が先の三カ国に日韓露を加えた六カ国協議だった。

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