インテリジェンス・ナウ

尾を引く9.11テロ捜査 窮地の「米・サウジ」関係

執筆者:春名幹男 2003年9月号
エリア: 中東 北米

 ホワイトハウスに賓客があると、報道陣は西館の前にマイクを並べて立て、その人が出てくるのを待ち構える。 七月二十九日、ブッシュ大統領らとの会談を終えたサウド・サウジアラビア外相はマイクの前に立って、手に持っていた書面ステートメントを読み上げた。「二十八ページの白紙の部分が、六十年にわたる米国の真の友人の罪を示す証拠とみられているのは言語道断だ……この二十八ページが公開されれば、われわれはいかなる疑いに対しても、明確で信頼できる方法で回答できるだろう」 サウド外相は怒りを露にしてそう述べた。白紙の部分とは前週発表された米議会上下両院情報特別委員会の合同調査報告書三百九十六ページ以降にある。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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