【インタビュー】仙頭武則(映画プロデューサー) 「働く人」が共感できる物語

執筆者:白石新 2003年9月号

 映画プロデューサーの仙頭武則氏が製作した、青山真治監督作品『月の砂漠』が公開される。三上博史演じる主人公は大学時代の仲間とソフト会社を興したITベンチャーの社長。製作に先立って、映画プロデュース会社の経営者でもある仙頭氏は、ITバブルの最中、大勢のITベンチャーの経営者に会った。「四年くらい前です。映画への出資要請と取材を兼ね百人近い、いわゆる勝ち組みの経営者の方々に会ったんですが、どういうわけか不安そうな人達がほんとうに多かったのです」 そこで仙頭氏は彼らに会った時、「みなさん三、四十代の方々ですから、サラリーマンをやったとして生涯収入は約三億円。その十倍の三十億円が手元に残れば十分です。株式公開で三百億円儲けたなら、そのうち二百七十億円を使いきったとしてもあなたは豊かですよ、もともと無かったと思えばいい」と言ったという。「みなさん一様にホッと安心したような表情でした。でもこういう感覚は彼らだけのものじゃない、普通の勤め人ならきっと共感できると思いました。これこそがまさに『月の砂漠』のテーマなんです」 しかし、内外の映画評論家の相当数がこの映画を観て「わからない」と述べたという。仙頭氏が会った経営者達の生の言葉が、『月の砂漠』では、ほとんどそのまま生かされていたにもかかわらずだ。

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