【[検証]アメリカンスタンダード 4】 ドルはいかにして「打ち出の小槌」となったのか

執筆者:田村秀男 2003年10月号
エリア: 北米

日本人は、あまりにもドルの価値を信奉しすぎているのではないか。基軸通貨としてのドルの牙城は、実はユーロの登場によってかなり揺らいでいる。 アメリカ・ドルはスラングで「buck」と呼ばれる。“make a quick buck”(手っ取り早く稼ぐ)のような慣用句が使われる。実に言い得て妙である。自分の所得以上に消費する結果、貿易赤字が膨張しているにもかかわらず、アメリカ通貨当局はドル札を好きなだけ自由に刷って世界にドルをばらまき、モノやサービスを買う。buckの七割はアメリカの外で出回っている。ドルを持つ非アメリカ人はやむなくアメリカの国債など証券、不動産などの資産を買う。アメリカ政府は赤字が増えて産業界に不満が高まると、貿易相手国に「対ドル・レートを切り上げろ」と迫る。一九七一年八月の「ニクソン・ショック」、八五年九月の「プラザ合意」、そして現在の「人民元切り上げ要求」。“buck”は「責任」という意味もあるが、まさしくbuck-passing(責任転嫁)である。日本、そして最近では中国もそうなのだが、ドル相場が自国通貨に対して下落すれば、ドル資産は目減りして膨大な損失を被る。アメリカは債務が減るし、ドル札をさらに刷り増して払えばよい。

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