『バカの壁』の成功が象徴するもの

執筆者:喜文康隆 2003年10月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

「一般的な情報論の立場からいえば翻訳もまた創造的な情報であることはいうまでもない」(梅棹忠夫『情報論ノート』)     * 絶対に買うまいと思っていた本を二冊買ってしまった。一冊は養老孟司の『バカの壁』(新潮新書)。いま一つはP. F. ドラッカーの『ドラッカー名言集・経営の哲学』(ダイヤモンド社)である。 この二冊の本は、少なくとも私の定義では「著作」ではない。著作とは、自らの思想を自らの文章で表現するものである。表現する能力の欠落している人間がゴーストライターなどを使って本に仕上げるのならいざしらず、養老孟司もドラッカーも、それぞれの分野における碩学であり、同時に表現能力を備えた文章家でもある。

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