国民年金保険料「未納率上昇」は社会保険庁の怠慢

2003年10月号
カテゴリ: 社会
エリア: 日本

 自営業者などが加入する国民年金の保険料未納率が、二〇〇二年度は三七・二%と過去最悪を記録した。しかも、未納率は前年度に比べ八・一ポイント増と、急激に上昇している。この年に大きな制度改正、例えば保険料の引き上げでもあれば話は別だが、そうした事実はない。変わったのは制度ではなく、保険料の徴収者。それまで保険料を集めていたのは市町村だったが、〇二年度から社会保険庁になった。つまり、国が保険料を集めるようになった途端、支払わない人が大幅に増えたのだ。 国民年金は、国が運営する制度。保険料も本来は国が集めなければならないが、長らく「機関委任事務」として市町村に下請けさせてきた。しかし、地方分権の議論が進む中、「制度の運営に関わっていない市町村が、面倒な保険料徴収だけ押しつけられるのはおかしい」という、しごく当たり前の結論に達し、国への返上が決まった。 機関委任事務の時代、未納率が高くなると国から叱責されるので、市町村は必死で保険料を集めた。市町村は、地方税や国民健康保険料も徴収しているだけに、「義務だから支払え」と言うばかりでは、年金保険料が集まらないことを知っている。九州地方のある市で徴収を担当していた職員は、「文書や電話での催告だけでは大した効果がない。とにかく未納者の家に足を運び、頭を下げるのが基本」と言い切る。社会保険庁は、年金保険料徴収の担当になったものの、市町村からこうしたノウハウをまったく引き継いでいない。

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