CEPA活用の戦略構築は急務

執筆者:五味康平 2003年10月号
エリア: 中国・台湾

「香港投資の妙味が出てきた」。一九九七年の中国への返還後、沈滞が続き、経済センターとして長期低落をたどっていた香港に復活の芽が見えてきた。六月末に中国と結んだ経済・貿易緊密化協定(CEPA)を欧米、アジアなどの企業が積極的に評価しているからだ。CEPAは電機・電子製品からアパレル、アクセサリー、薬品などまで二百七十三種四千品目の製品に対し、香港で加工されれば中国に関税なしで輸入できるという一種の自由貿易協定。来年一月一日から実施される予定だ。さらに二〇〇六年には品目制限がなくなり、すべての香港産品に輸入関税ゼロが適用される。 香港は中国への輸入、中国から世界への輸出の窓口として繁栄してきたが、中国国内の物流、通関体制が整備、改善されるにつれ、香港経由の利便性が薄れ、生産・物流拠点としてかつての勢いを失った。地価、株価が低迷する一方で、中国に比べて人件費などの高コストが目立ち、外資の上海シフトが止まらない状態になった。今年上半期に新型肺炎SARSが蔓延したことも衰退に追い打ちをかける、との悲観論も強まっていた。 だが、CEPAが始まれば、外資系企業は付加価値の高い半加工品を香港に持ち込み、ちょっと手を加えた完成品にして、中国に無税で持ち込むという芸当が可能になる。「かつて香港経済を支えた、中国への外国製品密輸が公に認められるようなもの」と漏らす日系企業関係者もいる。香港でどの程度加工し、付加価値をつければ香港産品として認定されるかという原産地問題はあるが、日本や欧米から中国に輸出すれば少なくとも一〇%以上の関税がかけられる製品が無税で持ち込める魅力は大きい。

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