ボベ氏の人気が暗示する現代フランス社会の歪み

国末憲人
執筆者:国末憲人 2003年10月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ

[パリ発]九九年八月十二日、南フランスのミヨーに建設中だったマクドナルドの店舗を、フランスの中小農家組合「農民同盟」指導者ジョゼ・ボベ(五〇)が襲撃した。これにより、ボベには「グローバル化に業を煮やし、奇天烈な行動にでた農民」というイメージが、米国や日本では定着した。 しかし、仏国内では、彼に対するイメージは大きく異なる。仏ジュルナル・デュ・ディマンシュ紙が今年八月に実施した恒例の有名人人気調査でも、スポーツ選手や芸能人に交じって、ボベは、俳優アラン・ドロンよりも上位の堂々二十七位。政治家で彼より上位だったのは二十一位のシラク大統領ただ一人だ。マクドナルド事件の後、彼は遺伝子組み換え技術の研究用イネを踏み荒らして有罪判決を受け、八月二日に南仏の刑務所から仮釈放された。直後にミヨー近くで開かれた市民集会には、彼を一目見ようと、三十五万人(主催者側発表)の市民が集まった。

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執筆者プロフィール
国末憲人 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員を経て、現在はGLOBE編集長、青山学院大学仏文科非常勤講師。著書に『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)など。
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