近隣アラブ諸国の反米気運に脅える小国カタール

執筆者:浅井信雄 2003年11月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: 中東

 イラク戦争で米国が中央軍司令部を置いたため、カタールという国のイメージがふくらんでいるが、その国家的規模を知れば、イメージと実体の大きなギャップに驚かされる。 米中央情報局(CIA)の二〇〇三年七月現在の推定では、総人口は八一万七〇五二人、総面積は約一万一四〇〇平方キロで、秋田県よりやや狭い。アラビア半島の東部からペルシャ湾に親指のように突き出た小国に過ぎない。 民族構成はアラブ系四〇%、パキスタン系とインド系がそれぞれ一八%、イラン系一〇%、その他一四%である。イスラム教徒九五%、公用語はアラビア語であるが、アラブ系住民が人口の半分以下というユニークなアラブ国家だ。 民族構成が異色なのは、主として国家建設を非アラブ系民族の労力と技能に頼った結果である。異民族の選択は、この国の歴史と宗教が左右したようだ。 インド亜大陸を統治した英国は、本国と亜大陸の中間のペルシャ湾一帯の安定化のため亜大陸の人材を移入したが、石油発見(一九三九年)後の異民族労力の導入でもその伝統が踏襲された。ともに英国の支配・保護を受け、英語を共通語に活用できた便利さも重要だ。 インド亜大陸に存在する多様で熱心な宗教人のうち、イスラム教徒が歓迎されたのは当然で、また亜大陸のインドとパキスタンが、外貨稼ぎの目的で国民を海外へ出したいという経済事情もある。

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