イラク石油省で高まる資源ナショナリズム

執筆者:畑中美樹 2003年11月号
エリア: 中東

 バグダッドが陥落した四月九日、ディック・チェイニー米副大統領は「イラク石油省はイラク人によって構成されるが、顧問団として国際アドバイザー達も一定の地位を占めることになる」と語り、これからはアメリカがイラクの石油政策に関与していく意向を示した。実際、連合国暫定当局(CPA)を率いるアメリカは、石油省への政策助言機関として石油諮問委員会を早々に創設。トップにはロイヤル・ダッチ・シェル米国法人元社長のフィリップ・キャロル氏を据えて、石油産業再建の主導を目指してきた。 しかし、ここに来て治安の悪化に加え、またひとつ米国の頭痛の種になりかねない問題が生まれている。CPAとイラク石油省との間で、石油産業の再建や石油開発の推進をめぐる考え方の食い違いが顕在化しているのである。

カテゴリ: 環境・エネルギー
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執筆者プロフィール
畑中美樹(はたなかみき) 1950年東京都生れ。慶應義塾大学経済学部卒業。富士銀行、中東経済研究所、国際経済研究所、国際開発センター エネルギー・環境室長などを経て現職。中東・北アフリカ地域で豊富な人的ネットワークを有する。著書に『石油地政学――中東とアメリカ』(中公新書ラクレ)、『オイルマネー』(講談社現代新書)、『中東湾岸ビジネス最新事情』(同友館)などがある。
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