年金改革の落とし所は「支給開始年齢引き上げ」

執筆者:藤田洋毅 2003年11月号
カテゴリ: 経済政策・社会保障
エリア: 日本

消費税増税は高すぎるハードル。厚労省案と財務省案が見事に対立する現状では、これに代わる手はない。 十一月の総選挙を前に、与野党で「マニフェスト」(政権公約)づくりが流行している。十月に入り、公明、社民、民主の各党が次々とマニフェストの概要を公表。そこで共通しているのは、二〇〇四年の年金改革を公約の大きな柱にしている点だ。しかも、まるで判で押したように、基礎年金の国庫負担引き上げで保険料の抑制と給付水準の維持を図ることを打ち出している。 ただ、現行三分の一の国庫負担を二分の一に引き上げるには、年間二兆七千億円の財源が必要。今後、年金受給者は急激に増えていくから、必要額は年々拡大する。ところが、各党とも肝心の財源調達方法には詳しく触れていない。 今のところ、現行の年金制度を維持する方法は、国庫負担の引き上げしかないようにも思える。しかし、財源調達には増税が不可避。景気回復が本物かどうかわからない現状では、実現は極めて難しい。そのことは、政権の中核を担う自民党が一番よく分かっており、年金改革については沈黙を守っている。 そうは言っても、改革をただ先送りすれば、年金制度は遠からず破綻してしまう。そこで、政府内では別のシナリオが練られている。高齢者の年金を削らず、保険料も急激に上げず、当面は増税もしないという「改革」。それは、これから年金を受け取り始める世代を対象にした支給開始年齢の引き上げだ。

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