「アーキテクチャ発想」で日本企業の強みを測れ

執筆者:藤本隆宏 2003年12月号

なぜ自動車産業で日本が強かったのか。その答えのカギは製品の設計思想にある。中国産業の強みと弱みを知るカギも、また同じ。双方の「ものづくり」の特質を見極めてこそ、企業の選ぶべきビジネスモデルが見えてくる。 バブル経済崩壊後の十数年、我が国の製造業に対して示されてきた診断や処方箋を振り返ってみると、日本総空洞化論、米国式経営優位論、IT(情報技術)万能論、製造業没落論など、過剰反応的な悲観論が多かったと言わざるを得ない。むろん、企業や産地によっては極めて厳しい状況にあるのは事実であり、また、仮に好調企業であっても、産業人たるもの、常に危機感を持つことは必要である。しかしながら、一貫したロジックを欠いた一過性の「雰囲気的な悲観論」からは、建設的な将来像は生まれない。 こうした短期的な「右往左往」が繰り返されてしまった原因の一つは、我々が個々の製品の特性や「ものづくり」の実力を虚心坦懐に見極める「現場発の産業論」を十分に体系化してこなかったことだと筆者は考える。自動車とパソコンの本質的な違いを見ずに産業全体を「十把一からげ」に論じ、既成の産業分類の枠組にとらわれ、最終損益とものづくりの競争力を混同し、精度の悪い産業診断を行なってきた結果、財務業績が良い時には一方的に強気、悪い時は徹底的に弱気、という過剰反応が生み出されてきたのである。

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