【[検証]アメリカンスタンダード 6】 「自由貿易」に基準なし 世界を振り回す通商政策

執筆者:田村秀男 2003年12月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 北米

「自由貿易」を唱えるのは、自国にとって必要なときだけ――。ルールなきアメリカ通商政策は、世界の貿易体制を破壊しつつある。 アメリカの通商政策とは、世界でアメリカ大統領にのみ許される「禁じ手」のことである。ときには大統領にとっての政治的都合が優先する。「自由貿易」という原則は禁じ手の乱用に歯止めをかけるが、特定の基準はなく履行は危うい。ニクソン以来の共和党政権は補助金や規制による国内産業てこ入れをしない代わりに通商で強硬策をとり、激しい通商摩擦を引き起こしてきた。民主党政権は概して産業政策を採用し、通商政策は「自由貿易主義」の名の下に相手国に押しつけるビジネス利益獲得手段に使うが、不発に終われば相手への関心を失う。クリントン前政権は日米包括経済協議に失敗するとWTO(世界貿易機関)加盟により「自由貿易」を受け入れた中国を重視した。「ジャパン・パッシング(日本素通り)」である。ブッシュ現政権は日本たたきをしない代わり、「自由貿易」を得意にする通商派を遠ざけ、貿易と国内政治のバランスを崩した。稚拙な保護主義に走り、世界の自由貿易体制を壊し始めている。「キダム」こと、カナダ・ケベックのモダンサーカス団「シルク・ドゥ・ソレイユ」。東京公演があるたびに、筆者はそのパフォーマンスよりもソレイユと現大統領の父ブッシュ元大統領がからんだホワイトハウスの秘話を思い出す。

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