オリガルヒに冬の時代

執筆者:名越健郎 2004年1月号
エリア: ヨーロッパ

 米国式の経営手法を導入し、個人資産推定80億ドルとロシアで1番の大富豪になったミハイル・ホドルコフスキー・ユコス社長(40)が10月末、脱税などの容疑で逮捕された。 専用機がノボシビルスクに着陸した際、重武装した連邦保安局(FSB)の一団が銃を突きつけて連行。数日後、FSBは12歳になるホドルコフスキー氏の娘の学校に乗り込み、娘に同級生の名簿などを提出させたという。 FSBは泣く子も黙る旧ソ連国家保安委員会(KGB)の後継機関。1930年代のスターリン粛清を彷彿とさせる逮捕劇は、ロシアがいつか来た道をたどっている印象を与えた。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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