「イラク・ナショナリズム」の利用を図るアメリカ

執筆者:村上大介 2004年2月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中東 北米

戦後統治に不満を持つスンニ派アラブ人など、旧体制の有力者が結集し始めた。アメリカも「世俗主義ナショナリズム」を掲げる彼らの支援に動いている。クルド人、シーア派の反発を招きかねないこの“賭け”は成功するのか。[バグダッド発]米占領統治からイラクへの「主権移譲」の日程が今年夏と明示され、イラク新体制のあり方への模索が続く中、これまで切り捨てられてきた勢力が結集する動きをみせている。この「勢力」を一言で説明するのは難しいが、旧フセイン政権のテクノクラート、軍人、知識人、あるいは地方部族長として旧体制下のイラクを支えてきた人たち、と大雑把に分類することができるかもしれない。「フセインとのつながり」を疑う米占領当局は戦後、こうした「国内勢力」を無視してきたが、米側も主権移譲をにらみ、姿勢を微妙に変化させている。 変化の兆しは昨年十一月ごろ、水面下で始まった。旧政権下で生きてきたバグダッドの複数の有力者に、米国の意を受けたヨルダン人や米国人が接触。戦後体制からはじき出されている旧バース党員や旧軍関係者、あるいは悪名高かった秘密警察要員らが今後、イラクの戦後復興のプロセスに協力する余地があるかどうか、といった探りを入れてきた。

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