冷凍庫に閉じ込められた北アイルランド和平

執筆者:土生修一 2004年2月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ

[ロンドン発]北アイルランドの和平プロセスが、混迷の度を深めている。 北アイルランド紛争は、英国からの分離を求める少数派カトリック系住民と英国統治存続を主張する多数派プロテスタント系住民との対立で、過去四十年間で三千人以上の犠牲者を出した。しかし、一九九八年四月、前年に政権についたブレア英首相が、対立する両勢力との交渉の末、両者が一緒になって自治政府を構成する画期的な和平合意を成立させた。この和平合意は、長い冬のあと、突然、やってきた春のようなものだった。 しかし、その後の和平プロセスも、春の天候のように不安定なものになった。合意の骨格は、「武器放棄を前提とした両者の協力」だったが、カトリック系過激派IRA(アイルランド共和軍)の武装放棄をめぐる対立が協力関係を妨げた。IRA側は、三度にわたって武器廃棄を宣言したが、プロテスタント側は、「まだ武器を隠し持っている」としてIRAへの不信を捨てず、自治は何度も頓挫した。二〇〇二年十月には、IRAが自治議会内でスパイ活動を行なっていたとの疑惑が発覚した。プロテスタント側は強く反発、議会が機能停止に陥ったため、ブレア政権は自治の一時停止を宣言して、北アイルランドは、中央政府による直轄統治に戻った。

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