【フォーサイトレポート】 松下政経塾の研究(下)

執筆者:出井康博 2004年2月号
エリア: アジア

政界の一大勢力となるにつれ、塾出身者の力を政界再編に利用しようとの気運もあちこちで噴き出している。一方、一時は風前の灯火だった政経塾本体も、名声の高まりと共に熾烈な主導権争いの舞台となっていった。 古くて新しい命題――。松下政経塾出身の国会議員には、「政経塾新党」の構想をこう表現する者がいる。二十年前から何度となく浮上してきた塾出身者による新党構想。昨年も、塾周辺でふたつの動きがあった。 そのうちのひとつの中心にいたのが、京セラ名誉会長で、創設当初から一貫して政経塾の評議員を務める稲盛和夫である。昨年七月に発表された民主党と自由党の合併で、稲盛が大きな役割を果たしたことは自身もインタビュー(『アエラ』二〇〇三年十一月十日号)で認めている。関係者の話では、もともと自由党党首・小沢一郎と親しかった稲盛が、自らが東京後援会長を務める民主党衆議院議員・前原誠司(松下政経塾八期)を通して民主党代表・菅直人と会い、合併の仲立ちをしたのだという。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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