深層レポート 日本の政治
深層レポート 日本の政治(49)

自衛隊派遣、進まぬ三大改革「重圧」の中で迎えた首相の新年

2004年2月号
カテゴリ: 外交・安全保障 政治
エリア: 日本

 この一年の永田町の変化を象徴するのは目立って増えた警察官の姿だろう。昨年三月のイラク戦争開戦以来、警察庁は過去最大規模の態勢で全国約六百五十カ所の重要施設警備を継続している。その最重要ポイントが首相官邸や国会、自民党本部などが密集するこの界隈だ。道路を遮断できる伸縮式の防護棚が何重にも設置され、窓を金網で覆った警察車両が所狭しと路肩に並ぶ。指示があれば、いつでも道路を完全封鎖できる態勢だ。 イラク戦争支持から自衛隊派遣へ。官邸の主、小泉純一郎首相がイラク問題への関与の度を強める度に警備陣は物々しさを増してきた。最近の厳戒態勢を目の当たりにし、首相はいよいよ後戻りできない所まで来たと実感しているはずだ。 その胸中が垣間見えたのは、真っ先にイラクへ乗り込む航空自衛隊の先遣隊に対して派遣命令を出した昨年十二月十九日のこと。政府広報番組「小泉総理ラジオで語る」の収録で、アナウンサーから「今年一年を漢字で表すと」と聞かれた時だった。首相は右手の人差し指で宙に「重圧」と書き、一呼吸置いて噛みしめるように声に出した。年金制度改革、道路公団民営化、三位一体改革の「三大改革」にイラクへの自衛隊派遣。この時期、首相はかつてない重圧の真っただ中にいた。中でもその重みに最も苦しんでいたのがイラク問題だったに違いない。「来年の抱負」を問われた首相は、即座に「イラク(派遣)が成功するといいな」と答えている。抱負というより願望、あるいは悲鳴に近かったのかもしれない。

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