行き先のない旅
行き先のない旅(10)

ベルギー王室の「日常」を見て

大野ゆり子
執筆者:大野ゆり子 2004年2月号
カテゴリ: 国際 社会
エリア: ヨーロッパ 日本

 先日、ベルギーのテレビでマチルド皇太子妃殿下のドキュメンタリーを放映していた。ベルギーのテレビ各局が時間をかけて丁寧に取材した共同製作だそうで、ご公務の内容を通して、国民と共に歩もうとするベルギー王室の考え方が視聴者に伝わってくる、良質の番組であった。ちょうど放映の数日前に、フィリップ皇太子殿下とマチルド妃殿下が夫の指揮した公演をご観劇になり、終演後に日本の皇室とのゆかりの深さなどを伺ったばかりだったので興味深く拝見した。 印象的だったのは、なかなか一般の者には触れる機会のないご公務というものが、いかにハードスケジュールであるかということである。「家族とのプライベートな時間が、公務への活力源です」と妃殿下はインタビューで語られたが、ご公務以外のプライバシーが徹底して守られ、ゆったりと過ごされているのにも驚いた。街中でお食事されても、あまりに普通でマスコミも追いかけない。「仲良いねえ」と話しかけるお爺さんが一人いた以外は邪魔する人もいない。 雅子妃殿下がしばらくご静養されるという記事を新聞で読んだが、国の規模などを考えると、日本の皇室の方々のご公務というのは、より一層、多岐にわたる激務ではないかと想像する。たまたま筆者は小・中学校時代の同窓生とはいっても、お目にかかる機会は限られているが、その中でご公務に対する細やかな配慮を垣間見たことがある。

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執筆者プロフィール
大野ゆり子
大野ゆり子 エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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