首相を悩ます派遣自衛隊員の“遺書”

2004年3月号
カテゴリ: 外交・安全保障 政治
エリア: 日本

 自衛隊のイラクでの復興支援活動が本格化しつつある中、ある問題が浮上している。 首相周辺によると、派遣隊員がテロ攻撃などで殉職した場合、「内閣支持率が一気に低下しかねず、官邸としては七月の参院選前にそれだけは避けたい」。そのため、万一の場合には小泉純一郎首相が即座にイラクに飛び、遺体を引き取るシナリオを描いている。そうすれば、「政治的なダメージを最小限に食い止められる」という計算だ。 ところが、すでにイラクに派遣された陸上自衛隊隊員の一部が“遺書”で「靖国合祀」を希望していることが確認され、官邸はまた苦悩の種をかかえることになった。官邸筋は「その内容が表に出れば、首相は殉職自衛官を慰霊するために靖国神社に参拝せざるを得なくなる。中国、韓国など近隣諸国には大戦のA級戦犯とイラク殉職者の区別はなく、必ず激しく抗議してくる」とし、新たな政治・外交問題を引き起こしかねないと指摘する。 小泉首相にすれば、靖国参拝の理由が強まる意味もあるが、扱いは難しい。官邸・防衛庁は、家族に託された“遺書”を「機密扱い」にして情報漏洩阻止に躍起だ。

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