人民銀行総裁が唱える為替相場「改善」の真意

2004年3月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 中国・台湾

 中国人民銀行の周小川総裁が二月十日の人民銀行工作会議で「年内に為替相場の形成メカニズムを改善する」と発言した。日米欧の人民元切り上げ期待派には「切り上げ決定」との解釈が多い。「従来のドル単独連動から円、ユーロも加えた通貨バスケットとの連動制への移行」という読み筋だ。 実現した場合、人民元は二〇%前後の切り上げになる見通しだが、中国ウォッチャーたちは懐疑的。「外部の希望的観測をかきたててガス抜きを図る中国の常套手段」との見方が強い。 二〇%切り上げとなれば、中国の地場企業が壊滅的打撃を受けるほか、外資の進出も激減する恐れがある。失業問題を恐れる中国政府としては取れない選択肢だ。中国国内では歴史問題などから円を連動通貨に加えることへの心理的抵抗が大きく、ユーロへの信頼感も薄いことから非現実的との意見も目立つ。 現実的には、繰り返し言われてきた変動幅の拡大(ワイダーバンド)での対応が精一杯だろう。今回の周総裁発言は、大統領選挙を控え、対中強硬姿勢でポイントを稼ぎたいブッシュ米大統領へのご祝儀とみた方がよさそうだ。

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