日本人の間に身を潜めていた大物国際テロリスト

執筆者:竹田いさみ 2004年3月号
エリア: アジア

 東南アジアの広域テロ集団「ジェマー・イスラミア(JI)」の最高幹部・通称ハンバリが昨年八月、タイの古都アユタヤで逮捕された現場は、日本人コミュニティーのど真ん中であった。ハンバリ(本名リドゥワン・イサムディン)はJIの軍事作戦グループを率いるリーダーで、一昨年十月のバリ島爆弾テロ事件を計画したテロリストとして、アメリカやオーストラリアの情報機関が捜し求めていた人物だ。まさかJI幹部が日本人コミュニティーの中にいるとは、だれも想像していなかったであろう。アユタヤで逮捕された事実は広く報道されてきたが、その生活環境に関しては意外と知られていない。ハンバリが住んでいたマンションは、日本人の長期滞在者専用レジデンスの隣であった。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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