“3.11”テロの衝撃――そしてスペイン総選挙の大波乱

執筆者:波津博明 2004年4月号
エリア: ヨーロッパ

 スペインで三月十一日に起きたマドリード鉄道同時爆破は、二百人の死者を出したうえ、十四日に行なわれた総選挙で、親米右派の与党国民党にまさかの完敗をもたらした。「三月の四日間」は国際的にも重要な意味をもつが、スペイン独特の問題をも浮かび上がらせた。 事態の国際的な意味については、重要な要素を三つあげたい。まず爆破の実行犯がアル・カエダの可能性が高いことである。モロッコ人ら容疑者五人が逮捕され、アル・カエダ幹部の犯行声明を録画したビデオも発見された。アル・カエダだとすれば、二〇〇一年九月の米同時テロ以来、アル・カエダ系組織が西側で起こした初の大規模殺傷事件となる。バリ島やカサブランカのテロとは違い、「西洋」を直撃するテロである。これが米大統領選にも影響することは間違いない。

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