民営化後の業務内容や取り扱い商品の範囲すら固まらないうちに、「官業の肥大化」を始めた郵政公社。民営化された郵政事業とはどうあるべきなのか。金融専門家の立場から発言を続ける翁百合氏に聞いた。――郵政民営化という言葉がひとり歩きしていますが、「民営化の内容」はなかなかイメージ出来ません。そもそもなぜ郵政事業改革が必要なのでしょうか。翁 確かに郵政民営化の必要性は分かりにくい。郵貯は国民の八割が利用しており、そのメリットも享受しています。実は私も九〇年代初頭の金利が高い時、定額郵貯に三百万円ほど預けたのですが、十年後に満期になった時、五百万円以上になっていました。何だか税の還付を受けたような得した気分になったものです。問題は、こういう郵貯のメリットが国民経済的に見ていいことなのかどうかでしょう。
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