うまい汁狂騒社会

2004年4月号
カテゴリ: 文化・歴史

“うまい汁”を吸おうという人間でこの国はあふれている。「武士は食わねど高楊枝」などという言葉はとっくの昔に死語になっているが、官も民も、男も女も、日本中が“うまい汁”探しに狂奔している。 佐藤某という代議士が秘書の給与を詐取したとして夫婦でつかまった。まあ、罪には違いないだろうが、なぜそんなに大騒ぎするのかわからない。三年間で千七百万円、だまし取ったという。この程度の代議士に何十年もの間、年間一億円近い国費を投じていたことを思うと、そのほうがはるかに無駄ではなかったか。 それも親も代議士だったというから二代続けてだ。妻が第一秘書で第二秘書が名義貸しの女性ときては、この代議士はどういう日常活動をしていたのだろう。一昔前の政治の世界を少しばかり覗いたことがあるが、家族や知人を秘書に登録して、給与はいただき、という代議士は少しも珍しくなかった。中には愛人を秘書にしたのか、秘書が愛人になったのかわからないような手合いもかなりの数いた。“愛人秘書”はおおむね、身を粉にしてよく働く。 佐藤某にもあきれるが、かつて高校の同窓会費を機密費で払った官房長官もいた。根性の卑しさにはあきれるばかりだ。 この不景気でも名門ゴルフ場へ行けば、黒塗りのハイヤーが並んでいる。“偉いさん”のゴルフが終わるのを半日、待っているのである。スポーツだか遊びだかは知らぬが、ゴルフをアゴアシ付き、土産付きでビジネスの世界に持ち込んでいる国は、日本しかない。昔は「十九番ホール」という言葉まであった。

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