杉並製アニメーション 新しい「地場産業」の取り組み

執筆者:水木楊 2004年4月号
カテゴリ: 社会
エリア: 日本

 対米輸出額で見て、鉄鋼とアニメとではどちらが大きいか――。答えは、アニメ。それも三・二倍である(五千二百三十二億円・ジェトロ調べ)。 アニメの市場規模は世界でおよそ八兆円。その六五%を日本が占める。あちこちで凋落の声を聞く日本の産業の中で、アニメは意気軒昂たる一大輸出産業である。一昨年、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』がベルリン国際映画祭で金熊賞、そして昨年には、アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞したことで、日本のアニメは名実ともに輝かしい国際的な地位を確立した。 しかし、東京都下、小金井市内の広い敷地に瀟洒なスタジオ建物、また三鷹市に美術館を持つ宮崎駿氏の「スタジオジブリ」とは異なり、アニメ製作プロダクションの大部分は狭いマンションや小さな建物の中で、数人、多くても十数人がひっそりと作業を進める、いわば零細企業である。 日本のアニメ製作プロダクションは全部で約四百三十社。うち三百六十近くが東京にあり、しかも半分近くが杉並、練馬に集積している。 両区への集積には、歴史的、物理的、二つの理由がある。日本のアニメ産業は東映社長の故大川博氏が「日本のディズニーを目指そう」と提唱して始まった。一九六〇年代当時の「東映動画」(現在の東映アニメーション)には、アニメ製作関係者だけで千人の社員がいたが、労働争議が頻発。東映は社員に独立を勧め、製作工程を細かく分割した。

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