濃縮ウラン計画に隠された北朝鮮の野望

執筆者:藤村幹雄 2004年4月号
カテゴリ: 国際
エリア: 朝鮮半島

[モスクワ発]二月末、北京で開かれた北朝鮮核問題をめぐる六カ国協議は、「成果なし」「継続協議」といった側面ばかり報じられたが、見逃された重大な点は北朝鮮が引き続き寧辺の核施設を稼動させ、プルトニウム型核兵器を製造する可能性が強いことだ。 北朝鮮は六カ国協議で、米国の敵視政策中止を条件に「核兵器施設凍結提案」を示したのに対し、日米両国は「検証可能で不可逆的な完全核放棄」を要求。外交用語で言う「ビナイン・ネグレクト(優雅な無視)」を決め込んだ。しかし、合意がなかったことで寧辺の五千キロワットの実験用原子炉は現在も稼動しているはずだ。 米国が追及した高濃縮ウラン施設も北朝鮮のどこかで建設が進んでいる模様で、北朝鮮はプルトニウム型(長崎原爆型)に加え、濃縮ウラン型(広島原爆型)の核兵器を保有する恐れがある。米国にとって、北朝鮮の核兵器が一個増えても脅威ではないが、日本にとっては死活的な重要性を持つ。 米情報機関によれば、北朝鮮は既に、最高七個の核兵器を保有している可能性があるとされる。一九九四年の米朝核合意以前に、実験用黒鉛減速炉から原爆二個分のプルトニウムを抽出したとみられるほか、一昨年末に封印を解除した約八千本の使用済み燃料棒から原爆五個程度のプルトニウムを抽出した可能性が強い。核施設の稼動が続けば、次回六カ国協議までに最低一個の核兵器用プルトニウムが抽出可能だ。

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