コンピュータは「悪」をなさない、と彼らは言う

執筆者:梅田望夫 2004年5月号
カテゴリ: IT・メディア

 産業界全体の情報の重心が、インターネットの「こちら側」から「あちら側」に移るとき、情報技術(IT)産業の覇権構造が変化する。それが前回の問題提起であった。 三月三十一日、グーグルはGメールという無償電子メールサービスへの参入を発表した。私はこれが今年第1四半期最大のニュースだと考えている。 グーグルは、電子メールを保存するスペースとして、ユーザー一人ずつに1ギガバイトという巨大ストレージを、インターネットの「あちら側」に無償で用意する。私たち一人一人がインターネットの「こちら側」(つまりPCのハードディスクの中)で保存している電子メールをすべて「あちら側」に移してしまおう、というのがグーグルの意図するところである。 マイクロソフトは、情報が「こちら側」に存在する限り、その情報(例、電子メール)を処理するためのソフト(例、アウトルック)で覇権を維持できる。一方グーグルは、「あちら側」にある厖大な情報を処理する検索エンジンという「情報発電所」を「あちら側」に作り上げてきた。よって、情報が「あちら側」に移りさえすれば、「情報発電所」の機能を増強することで、さまざまな新しいサービスを自在に付加できるのである。

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執筆者プロフィール
梅田望夫 1960年東京都生れ。94年渡米、97年コンサルティング会社ミューズ・アソシエイツを起業。著書に『ウェブ進化論』(ちくま新書)、『ウェブ時代をゆく』(同)、『ウェブ時代 5つの定理』(文藝春秋)、『ウェブ人間論』(共著、新潮新書)など。メジャーリーグの野球、そして将棋の熱烈なファン。
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