いやはや中国にはかなわない

成毛眞
執筆者:成毛眞 2004年5月号
カテゴリ: 国際 金融
エリア: 中国・台湾

 ある中国の国営企業のお手伝いをさせてもらっている。その会社が日本企業に投資をするときの黒子を引き受けているのだ。中国でも指折りの規模を誇る生産財製造会社なのだが、日本の同業者を買収したいという。対象となる会社の選定や事前交渉がわが社の役割だ。 お会いする前には「売国奴」という言葉がうかんだ。日本の誇る長年培ってきた技術を易々と外国に売り渡してなるものかという、妙な愛国心を持っていたのだ。将来、最大のライバルになるであろう中国に、生産財の技術まで持っていかれては日本は終わりだとも考えた。 ところがその会社の考え方を聞いて少し落ち着いた。日本の会社を買収後、生産は日本国内で継続、会社名やブランドどころか雇用もそのままで、中国で完成品を売るだけだという。つまり、中国の販売会社が仕入先の製造元へ投資するということなのだ。過剰借入金で資本不足の中堅製造業にとってはありがたい話だ。さらに販路の拡大も狙え、一挙両得。 さらに過去の成功事例を聞いて驚いた。すでにその中国の会社は破綻した日本の中堅製造業を一社買収し、再生に成功していたのだ。成功の秘訣を聞くと、中国人の社長を一人派遣し、ごく普通に経営したのだという。定年退職した中卒の技術者が鍵だと見た社長は即時に再雇用し新製品の開発をはじめた。同時にこれまでの縁故的仕入れを見直し一気にコストを下げた。一年で黒字化し、中国企業に買収される前にリストラした社員をも呼び戻したのだという。

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執筆者プロフィール
成毛眞
成毛眞 中央大学卒業後、自動車部品メーカー、株式会社アスキーなどを経て、1986年マイクロソフト株式会社に入社。1991(平成3)年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。さまざまなベンチャー企業の取締役・顧問、早稲田大学客員教授ほか、「おすすめ本」を紹介する「HONZ」代表を務める。著書に『本は10冊同時に読め!』『日本人の9割に英語はいらない』『就活に「日経」はいらない』『大人げない大人になれ!』『ビル・ゲイツとやり合うために仕方なく英語を練習しました。 成毛式「割り切り&手抜き」勉強法』など(写真©岡倉禎志)。
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