マイクロソフト制裁で見えてきたEU独禁当局の自己主張

2004年5月号
エリア: ヨーロッパ

 欧州連合(EU)の欧州委員会は三月末、米マイクロソフトに対し欧州競争法(独占禁止法)違反と認定、制裁金としては過去最高の四億九千七百二十万ユーロ(約六百五十億円)を科すことを決めた。音楽や映像の再生ソフトをパソコンの基本ソフト(OS)であるウィンドウズに標準搭載する「抱き合わせ販売」が競争法違反とされた。マイクロソフトのバルマーCEO(最高経営責任者)が欧州委と交渉を続けたが、結局、音楽・映像再生ソフトの問題にとどまらず、OSと応用ソフトを抱き合わせて売り込むマイクロソフトのビジネスモデル自体が問題視され、制裁が確定した。 マイクロソフトが米国でも独禁法違反のヤリ玉に挙がったのは記憶に新しい。米連邦地裁でインターネット閲覧ソフトとOSを抱き合わせで販売することの是非が争われたが、二年前に司法省との間で和解が成立。結局、法的な最終判断は下されないままの決着だった。今回、マイクロソフトは欧州委員会の命令差し止めを求める訴訟を起こす方針で、欧州を舞台に法廷での争いが続くことになる。 米国では玉虫色の決着に終わったものを、欧州委員会がかくも頑なな対応を見せたのはなぜだろうか。ひとつには米国製が「デファクト・スタンダード」として市場をリードし続けるコンピューター・ソフト開発に対しクサビを打ち込みたい、という思いが欧州各国に共通していることだろう。グローバル・スタンダードを米国が牛耳ることへの抵抗感は強い。とくにEU統合、ユーロ通貨の流通以降、米国への対抗軸としての「欧州」を一段と意識している。

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