【インタビュー】ハンダン・イペクチ(映画監督) クルド人の少女ヘジャル

執筆者:フォーサイト編集部 2004年5月号

 トルコ国内のクルド人問題に一石を投じた映画『少女ヘジャル』は、二〇〇一年にトルコ国内で公開五カ月後に上映が禁止されるという異例の事態を招いた。 映画の舞台は、一九九八年、共和国建国七十五周年を迎えたトルコ。その祝賀ムードとは裏腹にトルコ東部、南東部のクルド人居住区では、政府軍とクルド労働者党(PKK)のゲリラ組織が戦闘を繰り広げていた。八〇年代から始まった戦闘は、実に三万人もの死者を出していた。そんな時代を背景に、本作は、トルコ人の老人とクルド人の孤児が、ぶつかり合いながらもしだいに心を通わせていく様子を描く。トルコ語しか分からない元判事のルファトが、クルド語しか話せない五歳の少女へジャルと意思疎通を図るために、クルド語を覚え、片言のクルド語で会話する。ユーモアを交えながら展開されるそのストーリーは、民族融和をめざすトルコ政府の方針と一致しているかに思える。 それなのに、なぜ『少女ヘジャル』は上映禁止になったのだろうか。本作で、脚本、プロデュースも兼ねたトルコ人監督ハンダン・イペクチ氏は、警察がクルド分離独立派の人々の家に踏み込む場面が一因だったと語る。 問題の場面の警察はテロ集団と見紛うような残忍な手口で、戸棚に隠れていたヘジャル以外のクルド人一家を皆殺しにする。その様子からは、異民族の弾圧という言葉を思い浮かべずにはいられない。そもそも主人公の少女の名前「ヘジャル」はクルド語で「虐げられた」という意味だという。

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