「歯止め役」を失ったムクタダ・サドルの暴走

執筆者:木辺秀行 2004年6月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中東 北米

イラクのシーア派聖職者、ムクタダ・サドルの激しい反米行動が続いている。シーア派内でも孤立する、過激な主張が支持を得た理由とは――。[テヘラン発]イラクのイスラム教シーア派聖職者ムクタダ・サドルの存在が、六月末に主権回復を控えたイラクに暗い影を落としている。ムクタダの率いる民兵組織「ジャイシュル・マハディ(マハディ軍)」と連合軍はついに全面衝突。米軍は五月に入ってマハディ軍に占拠されていたナジャフの州知事庁舎を奪回したのを皮切りに各地で戦闘を本格化した。マハディ軍には多数の死者が出ているが、それでも、「ジハード(聖戦)」を訴えるムクタダの過激な主張は、米英兵によるイラク人虐待という醜悪なスキャンダルもあり確実に支持者を広げている。     * 今年はじめ、一人のイラク人男性がムクタダの支持基盤である首都バグダッドの「サドル・シティ」を訪れた。イラクの王制復活を目指すハシム家の末裔シャリフ・アリ氏(立憲君主運動代表)だ。王制復活の是非を国民投票にかけて決めることを主張する同氏にとって、二百万人が暮らすサドル・シティの住民の支持は不可欠だ。アリ氏の支持者は同氏に連なるハシム家の家系図が描かれたポスターを人々に配布。親米穏健派でもあるアリ氏は、ムクタダ支持者をなんとかして取り込みたいと考えたようだ。

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