インテリジェンス・ナウ
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「代理実験」まで請け負う北朝鮮―パキスタン関係の闇

春名幹男
執筆者:春名幹男 2004年6月号
カテゴリ: 国際

 奇妙なことに、北朝鮮の核兵器開発をめぐり、米朝の現状認識はぴったり一致している。「時は必ずしもわれわれの味方ではない」と四月に日本に続いて中国を訪問したチェイニー米副大統領は述べた。ブッシュ大統領もその後、一語違わぬ発言をした。 北朝鮮の金永南最高人民会議常任委員長と金桂冠外務次官はより具体的に「時はブッシュの味方ではない。時が経てば、核抑止力を質的、量的に強化する」と発言した。 米朝の首脳が指し示す事実はただ一つ。北朝鮮は核兵器保有数を着々と増やしている、ということなのだ。そんな懸念を裏付ける報道も続いている。ニューヨーク・タイムズ紙によると、パキスタン“原爆の父”A. Q. カーン博士は一九九九年北朝鮮を訪問した際、三個の核爆発装置を見せられた。 ワシントン・ポスト紙によると、米情報当局は北朝鮮の核兵器保有数推定をこれまでの「一、二個」から「八個以上」に上方修正する、というのだ。 転機は今年一月訪れた。一つは、北朝鮮の招きで米ロスアラモス国立研究所のジークフリート・ヘッカー元所長らが寧辺の核施設を訪問したこと。もう一つはカーン博士が北朝鮮との核開発協力を“告白”したことだ。 容器に入ったプルトニウムを見せられたヘッカー博士らは帰国後、その時着ていた服を提供した。プルトニウムを抽出する際にできる副産物アメリシウムなどを検出し、その半減期分析から、プルトニウムの抽出時期を探った。八千本の使用済み核燃料棒の再処理完了を確認したとみられている。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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