タクシン首相の「変心」で日タイFTA交渉が停滞

2004年7月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス

 日本とタイが二月に開始した自由貿易協定(FTA)交渉で、早期調印に積極的だったタイに及び腰が目立ち始めた。 タクシン首相は当初、「妥結すれば、訪日してでも七十二時間以内に調印する用意がある」と豪語し、コメを中心とする農産物分野の開放に消極的な日本を刺激してきた。しかし交渉筋によると、最近は「妥結は来年二月のタイ総選挙以降」との了解が両国政府の間で生まれつつあるという。 タイは、FTAの相手国として最重要視していた中国との間で昨年十月、野菜や果物などの関税を撤廃。国内に安価な林檎や梨などが大量に流入して、タクシン首相率いる与党第一党、タイ愛国党の票田である北部や東北部の農家を直撃した。首相の周囲や学者らは「このままでは総選挙が戦えなくなる」とFTA推進路線の見直しを求めている。 タイは日本側に非公式に国内事情を説明してペースダウンの意向を伝達。日本はマレーシア、フィリピンとも同時並行でFTAの交渉中で、重い腰を上げて国内のコメ議員や農協などの懐柔に乗り出そうとしていた矢先だけに、ハシゴを外されたとの思いが強い。

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