ロシア原油「南方輸出ルート」誕生のインパクト

執筆者:畑中美樹 2004年7月号
エリア: ロシア 中東

「イスラエル縦断パイプライン」を利用して、ロシアがアジア向けの原油輸出ルートを確保した。湾岸・中東地域の安全保障にも影響は必至だ。 今年二月中旬、イスラエルのオルマート副首相兼貿易相はモスクワを訪問し、「イスラエル縦断パイプライン」(The Trans-Israel Pipeline=Tipline)を使ったロシア原油のインド及びアジア市場向け輸出問題を協議した。 Tipline の建設は一九六八年。イラン産原油をアカバ湾にあるイスラエルのエイラートで陸揚げした後、全長二百五十四キロのパイプラインを使って地中海東岸のアシュケロンまで運び、さらにタンカーでヨーロッパに輸送するために考案された。当時は第三次中東戦争の直後でイスラエルがスエズ運河の東岸を占領していたことに加え、沈船もあって運河は使用できず、代替となるアフリカ大陸経由ルートは費用が嵩むため Tipline が活用されたという経緯がある。 ただ、イラン革命によるイラン―イスラエル関係の悪化後は、Tipline は少量のエジプト産石油を通油するルートとして使われていたに過ぎない。それも二〇〇〇年九月の第二次インティファーダ(反イスラエル抵抗闘争)以降はほぼストップしていた。

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執筆者プロフィール
畑中美樹 1950年東京都生れ。慶應義塾大学経済学部卒業。富士銀行、中東経済研究所、国際経済研究所、国際開発センター エネルギー・環境室長などを経て現職。中東・北アフリカ地域で豊富な人的ネットワークを有する。著書に『石油地政学――中東とアメリカ』(中公新書ラクレ)、『オイルマネー』(講談社現代新書)、『中東湾岸ビジネス最新事情』(同友館)などがある。
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