貿易赤字化が示す「がらんどう」の実態

執筆者:五味康平 2004年8月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 中国・台湾

「人民元問題」「脅威論」「デフレ輸出」……そして「バブル」。良かれ悪しかれ存在感を増し続ける中国経済を、世界は目を凝らして見つめてきた。だがその変化の速さは、しばしば予想を上回る。目の前の現実は、どんな未来の予兆なのか。まず経済の牽引役、輸出産業に焦点を絞る。 年初来、中国経済をめぐる話題は過熱をどう終息させるか、に集中してきた。中国政府が自ら指摘するように不動産開発や鉄鋼、アルミ、自動車などの産業分野に過剰投資、過剰生産能力の問題が発生している。放置すれば、過剰生産に陥り、不良在庫の山と行き過ぎた価格競争で再び赤字企業が続出しかねない。国有企業に融資している国有商業銀行の債務問題はさらに深刻化する。中国経済にとって「いつか来た道」というより「いつも通る道」である。 しかし、過熱は深刻な問題であってもおそらく中国経済が今、直面する本当の危機ではないだろう。真の危機は、中国経済が表面の活気、GDP(国内総生産)の拡大とは裏腹に「がらんどう」になりつつあることだ。「がらんどう」とは中国の民族系企業が伸び悩み、国内市場で外資の存在が拡大する一方、技術や輸出産業での外資依存がますます深まりつつあることを指している。

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