インテリジェンス・ナウ

イスラエルとイラン“勝ち組”のつばぜり合いが始まった

執筆者:春名幹男 2004年8月号
エリア: 中東

 実は、イラク戦争には影の主役がいた。イスラエルとイランである。いずれも、サダム・フセイン元大統領の仇敵であり、旧フセイン政権の崩壊でそれぞれの国益が満たされた形なのだ。 だが、激しい戦火の陰で、イスラエルとイランが、それぞれの思惑を込めて秘密工作を行なってきたことはあまり知られていない。 七月三日、あのアブグレイブ合同尋問聴取センター(JIDC)での虐待・拷問事件で懲戒処分を受けた米軍のジャニス・カーピンスキ准将が英BBCラジオ4のトゥデーという番組に登場し、驚くべき事実を明らかにした。 准将が昨年、別の将官とイラク国内の情報センターを訪問した時、それまでに見たことのない人物がいたので、「ここで何をしているのか」と尋ねたところ、彼は「尋問に当たっている。私はアラビア語を話すが、アラブ人ではない。イスラエルから来た」と言ったというのだ。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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