背中の曲がった老婆が4輪の買い物カートを押しながら、トコトコとまるで歩き始めたばかりの幼子のように歩いている。行き先は自宅から約2km離れた場所にあるスーパーマーケット。若者なら20分程度の道程だが、この老婆にはゆうに30分以上かかる。週に2日、往復1時間以上も歩いて日用品・食料品の買い物に行く。こんな生活がもう2年以上も続いている――。
いわゆる「買い物難民」の姿だ。経済産業省では、「難民」は「(政治的・宗教的事情から)ある土地を離れて避難する人々」を指すことが多いため、より広義に困難な状況にある人を意味する「買い物弱者」という言葉を用いている。
この買い物弱者が近年急増している。山間・僻地の過疎地の出来事のように感じるが、今、買い物弱者が急増し問題になっているのは、意外にも都市近郊部だ。
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