深層レポート 日本の政治 (136)

疑心暗鬼で迷走する「菅降ろし」

執筆者: 2011年4月26日
タグ: 日本
エリア: アジア
4月26日、衆議院予算委員会の東日本大震災関連集中審議で答弁する菅首相 (C)時事
4月26日、衆議院予算委員会の東日本大震災関連集中審議で答弁する菅首相 (C)時事

 東日本大震災への拙劣な対応によって、菅直人首相は野党だけでなく、身内の民主党内からも見放された。そんな状況下にあって、与野党の実力者の中で唯一、菅首相の援護に回っているのが、与党の一角を占める国民新党の亀井静香代表である。  亀井氏は大震災発生以前の段階から、菅内閣の危機的状況をみかねて、与野党参加の救国内閣の樹立を提唱していた。大震災後はさらにその主張に拍車をかけ、国難を乗り切るための復興実施本部の設置を呼びかけてきた。実施本部の本部長には菅首相、本部長代行には亀井氏が就任して、与野党の首脳級が顔をそろえてオールジャパン体制をつくるのだという。  だが、各党の態度は厳しかった。4月18日夜、亀井氏は自民党の大島理森副総裁、石原伸晃幹事長と都内のホテルで会談した。大島、石原両氏は亀井氏の提案について、一考の余地があるとして、すぐに拒否はしなかった。だが、ひとつだけ強く言い返した点がある。菅首相の資質についてである。 「首相が本気なのかどうか。それが伝わってこなければ、こちらは『はい、そうですか』とは言えない」  そして、大島氏はこう付け加えた。 「正直言って、菅さんは信用できない」  また、大島氏はこれまで接触を重ねてきた民主党の仙谷由人官房副長官に対しても、念を押すように自分の意向を伝えた。 「自民党は菅直人と一緒に沈没するつもりはない」  一方、公明党では菅政権への協力についてやや柔軟な態度を示してきたのが山口那津男代表である。だが、山口氏はあまりの菅首相の不人気をみて周辺にこう漏らした。 「あの人には徳がなさ過ぎるよ」

カテゴリ: 政治
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