国際論壇レビュー

先進国の政治麻痺と中国の「新世界秩序ビジョン」

 欧州ではギリシャに端を発したユーロ通貨圏の債務危機が、中核国のイタリア、スペインへと波及する懸念が広がる。一方、アメリカでは債務上限引き上げをめぐる与野党折衝が難航。超大国のデフォルト(債務不履行)というまさかの事態は回避したが、米国債が前代未聞の「格下げ」となった。ドルもユーロも信頼できぬと円が買われ、最高値レベルの円高に――。まさに先進国経済大波乱のひと月だった。
 政治が「麻痺状態」なのは日本だけではない。欧州もアメリカも、「決断できない政治」のため、経済が崖っぷちに追い込まれ、市場は大混乱を続ける。これからの世界はどうなるのか。日米欧3極と呼ばれ、世界の政治・経済をリードしてきた先進諸国が、無惨な姿をさらけ出している。

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執筆者プロフィール
会田弘継(あいだひろつぐ) 関西大学客員教授、ジャーナリスト。1951年生まれ。東京外語大英米語科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを務め、現在は共同通信客員論税委員、関西大学客員教授。近著に『世界の知性が語る「特別な日本』』 (新潮新書)『破綻するアメリカ』(岩波現代全書)、『トランプ現象とアメリカ保守思想』(左右社)、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)など。訳書にフランシス・フクヤマ著『政治の衰退』(講談社)など。
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