インテリジェンス・ナウ

核・ミサイル秘密ネットワークで起きていた北朝鮮女性殺人事件

 北朝鮮のテポドン2ミサイルの発射実験失敗。金正恩新体制の発足を盛り立てる上で「屈辱的な敗北」(リチャード・ハース米外交問題評議会会長)を喫したと言えるだろう。
 対外的にも、重大な痛手を負った。隠された損失として、北朝鮮のミサイル輸出市場への悪影響も見逃せない。北朝鮮製ミサイルの信頼性に傷が付き、1990年代に北朝鮮が「年間10億ドル」にも上ると“自己申告”したミサイル輸出代金を当て込むことができなくなるかもしれない。
 北朝鮮を中心として、ミサイル・核兵器技術供給・調達の相関図を描くと、元々の供給源になった旧ソ連・ロシアや中国を含めて、パキスタン、イラン、エジプト、シリア、ミャンマーなど、蜘蛛の巣のような形が広がっている。この秘密ネットワークには、なお数々の秘密が隠されているのだ。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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