行き先のない旅 (93)

誰が文化を支えるか

執筆者:大野ゆり子 2012年11月16日
エリア: ヨーロッパ

 橋下徹大阪市長による文楽協会への補助金削減案は、厳しい財政状況の中、公的機関が文化の助成にどのように取り組むのか、という難しい問題を提起した。
 これは危機の最中の欧州でも大きな問題だ。この地図をご覧いただきたい。英ガーディアン紙が、仏ル・モンド紙、スペインのエル・パイス紙、伊ラ・スタンパ紙、南ドイツ新聞、ポーランドのガゼタ・ヴィボルチャ紙の協力を得て、緊縮財政による各国の文化予算削減の様子をインタラクティブな地図にしたものである。
 大学、美術館、オーケストラ、オペラ、バレエなど、どの国の、どの文化施設が、どういう影響を受けたのか、ピンをクリックすると詳細が出てくる。文化省そのものを廃止したポルトガルをはじめ、びっしりと打たれたピンで欧州地図は埋もれてしまうほどだが、その中で驚くほど地図がきれいなのがフランスである。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
大野ゆり子(おおのゆりこ) エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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