北朝鮮「政軍関係の軋み」で「ミサイル発射」の悪手(下)

執筆者:平井久志 2012年12月5日
エリア: アジア

 北朝鮮の宇宙空間技術委員会スポークスマンが12月1日に発表した談話は、「偉大な領導者、金正日(キム・ジョンイル)同志の遺訓を高く奉じ、わが国自身の力と技術で製作した実用ロケットを打ち上げることになった」とし、「われわれの科学者、技術者たちは4月の衛星発射で現れた欠点を分析し、ロケットの信頼性と精密度を改善するための事業を深め、衛星を発射する準備ができた」と強調した。
 前述したように12月17日が金正日総書記の死亡1年目の日であり、この時期に「人工衛星」(長距離弾道ミサイル)を打ち上げ、金正日総書記の遺訓を実現し、金正恩(キム・ジョンウン)後継体制の存在を内外に誇示するものとみられる。

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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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