「訪中」は金正日の焦りか

執筆者:平井久志 2010年9月1日
エリア: 北米 アジア
8月27日、中国の吉林省長春市で胡錦濤国家主席(右)と握手する北朝鮮の金正日労働党総書記(30日夜の中国中央テレビのニュースから)(C)時事通信社
8月27日、中国の吉林省長春市で胡錦濤国家主席(右)と握手する北朝鮮の金正日労働党総書記(30日夜の中国中央テレビのニュースから)(C)時事通信社

 朝鮮半島情勢は3月の韓国哨戒艦沈没以降、米国、韓国、日本という西側勢力と、北朝鮮に配慮する中国、ロシアの旧東側勢力の対峙という冷戦構造の復活を 思わせる対立構造が顕在化した。特に、黄海での軍事演習をめぐり、米国と中国が激しいヘゲモニー争いを展開し、朝鮮半島を取り巻く厳しい現実を見せつけている。  カーター元米大統領の訪朝で、情勢は対話局面へと動くかに見えた。だが、金正日(キム・ジョンイル)総書記は訪朝したカーター元大統領と会談せずに突然 訪中し、中国重視の姿勢を明確にした。そして、北朝鮮は9月上旬の朝鮮労働党代表者会の開催で後継体制へ向けた党の再整備を目指す。めまぐるしい動きの背 景にある実相を、ひとつずつ解析していこう。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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