域内統合を進める一方で外部に対しては“壁”を高くしつつある欧州。しかし移民の波が止むことはない。[ロンドン発]イギリスのタブロイド紙は外国人の流入に対する懸念を常に煽り続けてきたが、五月、旧東欧圏を中心に新たに十カ国がEU(欧州連合)に加盟するとその騒ぎはひときわ激しくなった。アムステルダム条約とシェンゲン条約によって、“新参”のヨーロッパ人も、イギリスを含むEU加盟国のどこにでも住む権利を持つことになったからだ。 タブロイド紙はこぞって、チェコ人やポーランド人の流入で、今にイギリスは洪水になってしまうと煽り立てた。中でも排外的な『サン』は、「難民にとって便利なフレーズ」として、「だんな、小銭はありませんか」や「いちばん近い福祉事務所はどこですか」といった表現を載せた。その心は、移民は働かず福祉に依存するというものだ。
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