ケイコ・フジモリ勝利の構図となったペルー大統領選挙

執筆者:遅野井茂雄 2011年4月18日
タグ: 日本 大統領選
エリア: 中南米

 4月10日行われたペルーの大統領選挙は、1月15日付の本サイトで占ったように文字通り混戦となった。元軍人の左派ウマラ候補が終盤急速に盛り返して1位につけ、フジモリ元大統領の長女ケイコ国会議員が2位に食い込む結果となった(下表参照)。決選投票でケイコ候補が勝つとすれば、相手がウマラ候補の場合に限られるとの見通しも述べたが、フジモリ陣営にとっては願ってもない組み合わせとなったと言える。

 だが、年率7%を超す高度成長が続くペルーで、外資への課税強化や所得再分配を説く左派候補を嫌って、中道3候補を支持した有権者が決選投票でこぞってフジモリの側に流れるかとなると、反フジモリ感情も根強いため、そう単純ではない。6月5日に予定される決選投票は、予断を許さない状況である。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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