オバマ政権の中東政策の転換と南米諸国

執筆者:遅野井茂雄 2011年5月23日
エリア: 中南米

 19日のオバマ米大統領による中東政策の発表は中南米諸国との関係にも影響を及ぼす可能性が大きい。ブッシュ前政権下で失われた影響力の回復に向けたオバマ政権の対中南米関与政策が、米政府の関心が中東に向かうことで弱まるのではないかとの観測もある。【リンク】はたしてそうであろうか。

 オバマ政権の中東和平政策の注目点は、将来のパレスチナ国家との国境線を1967年の第3次中東戦争前の境界線を基礎にするという考えを打ち出したことだ。これまで同年の安保理決議に背いて占領地を拡大するイスラエルの側についてきた米国が、中東での民主化運動とビンラディン殺害を受け、原点に立ち戻ることで中東和平に新たに関与しようとする政策転換の意義は大きい。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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