北朝鮮のメディア戦略に変化の兆し

執筆者:平井久志 2011年7月19日
エリア: アジア

 最近、北朝鮮のメディア戦略に変化の兆しが見える。朝鮮中央通信の報道記事件数が激増し、同通信や労働新聞のホームページが整備されるなど報道の姿勢に変化がみえる。さらに、朝鮮中央通信の社長がAP通信の招きで訪米し、AP通信の平壌支局を開設することで合意し、また、朝鮮中央通信はロイター通信に対してこれまでの記事、写真に加えて映像まで交換することで合意した。

 北朝鮮は2009年4月9日に最高人民会議第12期第1回会議を開催し、金正日総書記を国防委員長に推戴し、国防委員会の再編を行った。翌10日の労働新聞は金正日国防委員長を除く、3人の副委員長、8人の委員の顔写真を掲載した。特にこれまで写真が公表されたことのない謎の人物とみられていた白世鳳(ペク・セボン)委員、公安機関の国家保衛部第1副部長である禹東則(ウ・ドンチュク)委員の顔写真も公表され「情報公開」の意図に関心が集まった。

カテゴリ: IT・メディア 政治
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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