野田政権が目論む「高所得者増税」の落とし穴

執筆者:磯山友幸 2011年10月3日
エリア: アジア
富裕層への増税を提案した大資産家のバフェット氏(c)EPA=時事
富裕層への増税を提案した大資産家のバフェット氏(c)EPA=時事

 ウォーレン・バフェット氏と言えば、東日本大震災直後に「日本株は買い」と発言するなど、日本でも馴染みの深い米国の著名投資家だ。投資会社バークシャー・ハサウェイの会長兼最高経営責任者(CEO)を務め、世界有数の資産家としても知られる。そのバフェット氏が8月中旬、米ニューヨーク・タイムズ紙に寄稿した。いわく、「億万長者にやさしい議会によって長い間甘やかされてきた」と指摘、富裕層への増税を提案したのだ。  世界各国で国家財政が破綻の淵を彷徨う中で、巨万の富を持つ富裕層に対して増税すべきだという議論が広がりを見せている。欧州最大の財政赤字に苦しむスペイン政府は、9月中旬に、富裕税を暫定的に復活させることを決めた。英エコノミスト誌も最近になって「金持ち狩り」と題する特集を組んでいる。富裕層に負担を求める流れは世界的に強まっているのだ。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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