先週ぐらいだったか、新聞の社会面に作家のハン・スーインが95歳で亡くなったという記事が載った。扱いはベタ。映画「慕情」の原作を書いた作家、という書かれ方をしていた。ハン・スーインについては、「借り物の場所、借り物の時間」という簡潔な一言で、香港の魅力と運命を表現したことはあまりにも有名だ。
中国人の客家出身の父、ベルギー人の貴族出身の母を持ち、医療の道を志した。そのなかで、国民党の軍人と恋に落ちて結婚。しかし、破綻した結婚となり、夫は国共内戦で命を落とした。香港では、英国人の出版商と結婚し、文筆の世界で一気に名声を築いた。
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